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国内運動、ラテン・アメリカ、世界運動へ


ナソップ運動は、地域レベルで存在する各運動拠点をまとめる地方運動体(国内を8つのエリアに区分※)、そして各地方の運動を統率する全国運動体としてピラミッド型の組織構造を形成しています。国内8つのエリアで開催されるナソップ地方大会では、全国集会に参加する代表者候補を選出します。候補者は、各県から2名ずつ選出されます。

地域レベル運動拠点  ※〔国内8つのエリア〕
MNNATSOP北部地域:ピウラ、トゥンベス
MNNATSOP北東部地域:ハエン、バグア
MNNATSOP北部中央地域:カハマルカ、ランバイェケ、ラ・リベルタ
MNNATSOP中央海岸部地域:リマ、イカ
MNNATSOPセルバ東部地域:イキトス、ナウタ、レケナ
MNNATSOPセルバ中央部地域:プカルパ
MNNATSOP中央山岳部地域:ワンカーヨ、ワンカベリカ、アヤクチョ
MNNATSOP南部地域:アプリマック、アレキパ、クスコ、プーノ、タクナ


1.ナソップ全国大会:全国代表者の選出と強化合宿、本部の役割


デモ行進にて子どもの権利について話すジン代表 選ばれた全国代表者候補は2年に1度、11月に行われる全国集会に参加します。首都リマで開催されるこの全国大会に集まるナソップメンバー約100名(この集会には各地方からだいたい5名が参加)で、約5日間の合宿が行われます。合宿の内容は、活動の見直し、困難やトラブルなど活動状況、子供の権利条約や子供・青少年法の勉強会を行います。

最後に18名の全国代表者を選出します。それ以外の各県代表の子供が地方代表者として、それぞれの地域のまとめ役となります。

選出された全国代表18名は1月の強化合宿に参加します(1月は学校が夏休み)。この合宿はほぼ2週間行われ、そこでINFANT(働く子供・青少年教育機関)より「どのように児童労働に関して話をするか」「子供の権利」、「代表者の責任」、について勉強します。そして本部メンバーの選出を行い、前年度(2年間)の本部メンバーからの引き継ぎを行います。

歴代全国代表者名簿(別ページへ)


MNNATSOPの本部は首都リマ市内の南、サン・フアン・デ・ミラフローレス地区にあります。この事務所の建設には寄付された永山則夫の遺産の一部が使われています。同事務所の2階は、NATsの教育機関であるINFANTの事務所があり、3階は本部に長期間滞在全国代表者達の宿泊施設として利用されています。

集会にてグループ別に話し合う子どもたち 本部と各地方の代表者は、インターネットのチャット機能を通して会議を開くことにより、常に話し合いの場が持たれています。
本部と各地方の拠点を結ぶチャット会議は毎週日曜日に行われていますが、各拠点に事務所が存在し、インターネット環境が整えられている訳ではありません。その場合は、最寄りのインターネットカフェを利用するなどしていますが、拠点によっては、毎週のインターネット利用料が負担になるため頻度を変更したいという提案も出ています。

全国代表ライラさんのある1週間(PDFファイル:別ページへ)
全国代表アベル君のある1週間(PDFファイル:別ページへ)

2.MOLACNATs:NATsラテン・アメリカ及びカリブ海地域大会

ナソップ運動は他国の働く子供達とも繋がっています。ナソップ運動は、ラテン・アメリカとカリブ海地域の働く子供達により結成されたMOLACNATS(ラテン・アメリカ及びカリブ海地域の働く子供達による運動体)のメンバーでもあります。各国の働く子供達による運動体や、働く子供による組織が一同に会する場を設け、ラテン・アメリカ及びカリブ海地域の働く子供達の声を一つにまとめることにより、それぞれの国において一貫性のある活動を展開していくことを目的としています。

ラテン・アメリカ及びカリブ海地域働く子供・青少年運動 ラテン・アメリカ大会

MOLACNATsとはラテン・アメリカ及びカリブ海地域働く子供・青少年運動の略語です。CONNATs−パラグアイ、CORENATs−ベネズエラ、UNATsBO−ボリビア、MOCHINATs−チリ、ONATsCOL−コロンビア、MNNATSOP−ペルー、MONATsGUA−グアテマラ、MOVIMIENT ARGENTINO−アルゼンチン。

MOLACNATsは、働く子供達が尊厳のある生活を享受できる社会の確立をその目的とし、その活動は全ての子供達、特に働く子供達の権利の擁護と促進のために向けられています。第一回目のNATsラテン・アメリカ及びカリブ海地域大会は1988年にペルーのリマにおいて開催されました。

1988年  第1回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(リマ)
1990年  第2回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(ブエノスアイレス)
1992年  第3回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(グアテマラ)
1995年  第4回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(サンタ・クルス)
1997年  第5回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(リマ)
2001年  第6回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(アスンシオン)
2004年  特別会合NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(リマ)
2008年  第7回NATsラテン・アメリカ及びカリブ海大会(コロンビア)

以下、今年(2008年)にコロンビア(於カチパイ)において開催された第七回大会での宣言文です。

「CACHIPAY宣言」(別ページへリンク)


3.NATs世界運動:アフリカ、アジア、そしてラテン・アメリカ

ナソップ運動はMOLACNATs内で選出された代表者が出席する、NATs世界運動のメンバーでもあります。

ジャシー代表第3回働く子供・青少年世界大会(2006年開催:於イタリア)
元MOLACNATs代表者 ジャシー・オレさんにインタビュー(橙色がジャシー・オレさん)

――働く子供世界運動を構成しているのはどんな人たちですか?

 この世界運動はアジア、アフリカ、ラテン・アメリカの3つの大陸に存在する働く子供たちの運動体により構成されています。ラテン・アメリカではMOLACNATs、ラテン・アメリカ及びカリブ海地域働く子供・青少年運動。アフリカはM-JET、アフリカの働く若者、青少年による運動体。アジアでも働く子供の運動体が存在するのですが、言語の違いから来るコミュニケーションの問題により、運動は各国レベルでの活動に留まっており、まだアジア大陸としての運動体名はありません。

――どれくらいの働く子供達がこの集会に参加しましたか?

 NATsやコラボラドーレス、そして代表者を合わせてだいたい90名の参加者がいました。

――集会ではどのような活動が行われましたか?」

 今回の世界大会では新しいテーマを扱わず、2004年4月にドイツのベルリンで開かれた第2回世界大会で扱われたテーマ、当時時間が足りず結論に至らなかったテーマを再度取り上げました。イタリアで開催された当大会では、働く子供世界運動の組織としてのビジョンとミッションの決定や、活動プランや組織図の作成、または、コーディネーションチームの発足などに、多くの時間を費やしました。第1回と第2回の大会では、3大陸という規模の大きさから生じる、各代表者による意見や社会背景の相違により、世界運動を結成するまでには至らなかったのですが、今回の第3回大会において、働く子供達による世界運動が正式に誕生することとなり、3大陸が共に力を合わせて活動を展開していくこと、大陸間で連携の取れたコミュニケーションをとることなどが取り決められました。


――イタリアでの集会は、全大会での未解決案件についての議論を進め、世界運動を具体化するのに役立ったというわけですね?」

 その通りです。私たちは約1ヶ月間イタリアに滞在し、うち3週間は世界運動の組織作りに専念し、残りの1週間は各グループに分かれ、イタリアのいくつかの街を訪れ、市町村や学校との交流を深めるために費やしました。そして、交流の場において、世界運動の存在と作成された宣言文の流布にも努めました。

――ジャシーさんはどうやって世界大会に出席することになったのですか?

 世界大会に参加できる代表者は各大陸で8名という通達がありました。現在、ラテン・アメリカの働く子供の運動体に加盟している国は8カ国ですから、各国から一名ずつを選出するということで合意しました。その中で、ナソップ運動は代表として私を選出したために、第2回世界大会に参加できたわけです。

――世界大会ではどのようなコミュニケーション手段をとったのですか?

 大会の中での困難のひとつは言葉でした。ラテン・アメリカでは、主にスペイン語を話しますし、アフリカでは主に英語、フランス語を公用語においている国が多いのですが、アジアでは各国それぞれに違う言語を持っています。したがって、アジアの子供にはそれぞれに通訳の同伴を必要としました。さらに、随行した通訳が運動体のメンバーではないため、運動を理解せず、正しく通訳されなかったことが、私達のコミュニケーションをさらに困難にしました。

――各大陸の運動体はそれぞれどのような特徴を持っていますか?

 アジアでは、国単位の活動は非常に活発なのですが、大陸レベルでは、コミュニケーションの問題により共同で活動を行うことができません。一方、アフリカの運動体は各国間の連帯が強まっており、昨年の7月にはアフリカ大会が行われました。彼らはILO(国際労働機構)と共に活動していますが、児童労働の撲滅に向かった活動を展開している訳ではありません。

――世界大会の共通目標は何ですか?

 3年毎に1度の頻度で世界大会を開催すること、各大陸2名の選出者からなる計6名の代表者でチームを構成することが、今回の世界大会において決定されました。この代表者チームは2年毎に集まり、世界大会開催に向けた準備を行います。世界運動には事務局が存在せず、大会はドイツのPRONATsとイタリアのITALIANATsの援助により開催されます。次回の世界大会はアフリカでの開催を予定しており、まだどこの国で行うかは決まっていませんが、代表者チームによる大会開催に向けた会議がラテン・アメリカで行われる予定です。
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