ペルーの子供達レポート[Tatebe2]
 




連載第2回 ☆連載中☆

写真[1] 道なき道
写真1:道なき道
高地アマゾンの地方都市
Tingo Maria (ティンゴ・マリア)より

リマから夜行バスで12時間。高地アマゾン地域にある地方都市、ティンゴ・マリア。今回は、ここの国立公園の中にある村、トレス・デ・マヨを訪れた。人口90人ほどの小さな村だが、面積はとても広い。学校と小さな商店がある村の広場までは、国立公園の入口から2時間も歩かなければならない。トウモロコシ畑を掻き分け、橋のない川を渡り、雨でぬかるんだ道なき道をひたすら歩いていくのだ。アマゾン地域では雨が多いため、土砂崩れしているところも少なくない。その道の途中にポツリ、ポツリと村人たちの家がある。ここで言う「ご近所さん」とは、少なくとも歩いて30分以上のところだろう。広場までの道のりで見かけた家は、たった3つだった。

歩いていると、ティンゴ・マリアの街に収穫したくだものを売りに行くというセニョーラに会った。ペルー独特のカラフルな色使いをした織りものの布いっぱいに詰められたくだものを担ぎ、さらに両手にも布袋を持っている。私の祖母ほどの年齢のセニョーラがこんなにたくさんの荷物を持って、アマゾンの山の中の舗装されていない道を何時間も歩いて行くのかと思うと、素通りするわけにはいかず、くだものを3つ買った。1個0.5ソル、日本円で14円ほどだった。

写真[2] とうもろこし畑
写真2:とうもろこし畑
この村の主な生産物は、トウモロコシ、ユカ、調理用バナナ。村にひとつだけある商店を除いては、ほとんどの村人が農業に従事している。その他には、コカを栽培している畑も見かけた。ペルーは、南米の中でも特にコカの生産量が多い。インカ時代より以前から長年、薬草やお茶などとして使用されてきたコカの葉は、現在でも「マテ茶」として飲まれているし、空腹を忘れさせ、疲れを癒す効果を持っているため、農地や鉱山など重労働に従事する労働者たちの間では、葉がそのまま噛まれている。また、コカインの原材料として高く売れるため、栽培している人々も多いのが現状だ。

この村の子供たちは、両親を手伝うため、学校が終わったあとや週末などは、畑で働いたり、街に収穫できたものを売りに行ったりしているようだ。商店でお手伝いをする17歳の少女に聞いてみると、彼女はすでに村の学校を卒業したので、毎日その商店で働いているという。しかし、人口90人の村。お客さんが頻繁に来るわけでもなく、いつもテレビを見て過ごしており、街に出るのは、商品の買い出しのために月に3回ほどだそうだ。彼女は3人兄弟の一番上で、村の学校に通う13歳の妹と5歳の弟がいる。妹の通う学校には、6歳から15歳まで25人の子供たちが通っている。学校は、月曜日から金曜日までの朝8時から午後2時まで。平日のみ学校で寝泊りしている街からの先生が1人だけで、全員が同じ教室で学んでいる。学校の前の広場には木枠でできたサッカーゴールがあり、時間のあるときはいつもみんなでサッカーをして遊んだり、夏休み中の今は、街まで出ていったり、国立公園内にある滝で遊んだりしているという。彼女にこの村での生活を聞いてみると「自然がたくさんで気持ちいいし、とても静かで好き。村人全員が知り合いだから安心」と言っていた。

写真[3] 小さな商店
     写真3:小さな商店
大自然の中で家族や友達、知り合いとの親密な繋がりの中で静かなときを過ごす17歳もいれば、大都会の希薄な繋がりの中で忙しくときを過ごす17歳もいる。ペルーには、どんなときを過ごす子供たちがいるのだろう。これからもペルーのさまざまな文化、暮らしに出会っていきたい。




写真[4] 家のある風景
写真4:家のある風景






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