ペルーの子供達レポート[T6]
 




連載第6回 ☆連載中☆

こんにちは。私の通っているカトリカ大学ではもうすぐ期末テストのため、図書館には毎日多くの人が詰めかけて勉強しています。各授業で分厚い文献を読まなければいけないので、多くの学生が大きなリュックサックに何冊もの本を入れて通学しています。朝から晩まで大学にこもっている、という学生も珍しくありません。

さて今回は交換留学生の私が、なぜNNATSCAPでの活動をお手伝いさせてもらうに至ったかについて少し話したいと思います。私が日本では国際特学部に所属し、特に「貧困」について関心を持ち、それに関連した講義を取っていました。次第に机の上で学ぶだけでなく、実際に途上国へ行って自分の目で見てきたいという思いが生まれ、ペルーに留学をしました。

写真[1] コミュニティーの中を走りまわるNNATSCAPの子供たち
写真1:コミュニティーの中を走りまわるNNATSCAPの子供たち
ペルーでの生活は全く日本と異なるものでした。特に強く感じたのがペルーの中に全く異なる2つの社会が存在する、ということです。例えば私の通っているカトリカ大学は私立大学で、ある程度お金のある家庭の子供しか入れないと言われています。大学内では多くの学生が自分のノートパソコンを開いて勉強をしていたり、自分の車で通学しています。その一方で、大学へ行くためにバスに乗っていると、子供たちがバスの中にお菓子を売りに来たり、赤ちゃんを抱き抱えた女性が物乞いにきたりします。ペルーで生活することで、富める人とそうでない人との大きな格差を感じました。しかし私が普段生活する場は、その中のお金持ちの人たちの生活する場でもありました。もっと働く子供たちの生活や環境について知りたい、そういった思いが強くなりました。

そういった経緯から働く子供たちに関して調べているうちに、昨年末にペルーで活動を行っているクシ・プンクさんに出会いました。団体の方の紹介でINFANTを紹介してもらい、ビジャ・マリアやペルー北部ピューラで行われてる活動の見学や実際に子供たちと話をする機会をいただきました。それまで私の中で「子供たちが働くこと=無くさなければいけない」と、極端に言ったらそのような考え方が少なからずありました。ですが、INFANTは「子供たちの働く権利」を守る、またそれを子供たちに伝えていく、という活動方針を取っており、私にとってそれはとても新鮮なものでした。ペルーでは多くの子供たちが働いています。ですが彼らが働かなくてはならない現実を前に、子供たちの労働を廃止することはとても非現実なことです。また子供たちが必ずしも嫌がって労働をしているわけではありません。サン・ホセ・オブレロ学校で出会ったカリナという10歳の女の子は6歳の時からお姉ちゃんと一緒にパンを作っています。彼女は「働ことが好きだから、もっと上手にパンが作れるようになりたい」と言っていました。

写真[2] 絵を描くのが大好きなクリスティアン
写真2:絵を描くのが大好きなクリスティアン
初めてCanta galloへ訪問した時、まだINFANTの支援自体が1カ月前に始まったばかりでした。それまで私が見学したどのコミュニティーよりも騒がしく、子供たちは中々スタッフの話を聞けませんでした。ですがたくさんのビーズや絵具、色鉛筆を前にみんなの顔がとってもきらきらしていました。またCanta galloのコミュニティーがある場所は、決して清潔な場所ではありません。近くにはごみで溢れていたり、変なにおいがいつもします。ですがシピボ独特の素晴らしい文化がコミュニティーのあちらこちらに垣間見れ、そんなことは全く気になりませんでした。まだ支援が始まったばかりのCanta galloでの活動を通じて、子供たちと一緒に「働く子供たちの権利」を学びたい、また子供たちの生活・シピボの文化についてもっと知りたいと思いました。

私が活動に参加して約3カ月、ルールを決め、役割分担をし、以前よりも積極的に発言をする子供が増えてきました。その一方で、顔を出さなくなってしまった子供もいます。NNATSCAPでの活動はまだ始まったばかりです。私が活動に参加できるのも残り2カ月を切ってしまいましたが、少しでも子供たちの環境を理解できるように、自分に出来ることをやっていきたいです。


ボランティアレポート 高橋朋小さん ☆連載中☆


連載第1回 Canta Galloって?
連載第2回 墓地を清掃する少女の映画鑑賞
連載第3回 グループの名前が決定
連載第4回 待ちに待った遠足の日
連載第5回 みんなで決めたルール
連載第6回 自分ができること
連載第7回 ホットドックを売ろう!!
連載第8回 サン・フアン祭


ボランティアレポート 岩崎由美子さん

連載第1回 働く子どもたちの学校MANTHOCでのボランティア報告
連載第2回 子どもたちの劇団「Arena y Estera(砂とムシロ)」でのボランティア報告



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