ペルーの首都・リマでは、安定した職や充実した社会福祉など、より良い生活を求め農村部から流入してきた多くの国内移民たちが、市街地から少し離れたところにコミュニティーを形成している。今回訪れたのは、リマの中心部から車で2時間ほど離れたところにあるSan Juan de Luriganchoという地区だ。この地区は、リマにある43地区の中でも最も大きく、住む環境、人々、生活の質もさまざまである。
私が今回、この地区を訪問したのは、NPO法人「Un Techo Para Mi Pais」の家を建設するプロジェクトに参加するためだ。1997年のチリで設立され、現在では南米16ヶ国に支部を持つ国際的な団体である。南米諸国の大部分の人々が貧困状況下に暮らしているという実態を社会全体に呼びかけ、機会平等で排除されるもののないひとつの社会をみんなで作りあげていくことをビジョンに掲げている。ミッションは、学生とコミュニティーによる家の共同建築を通して、
@学生たちの自分たちが住む社会に対する意識向上
今回のプロジェクトでは、10月21日(金)から23日(日)までの3日間で、約500名の学生が70棟の家を建設した。場所は、San Juan de Luriganchoの中でも新たに移動してきた人々が住み始めている、まだあまり開発されていない区域で、削られた山の斜面にレンガで出来た家、板が組み合わされて出来た家などが不揃いに立ち並んでいるというところだった。山の斜面はとても急で、階段もまだしっかりと整備されておらず、一歩足を踏み外したら下まで転がっていってしまいそうなほどだ。降りるのが怖いといって泣いて母親にしがみつく幼い子供も見かけた。家の基礎は積み重ねられた岩だけで補強されており、隙間だらけで、上を歩くたびにポロポロと岩のかけらが落ちていく箇所もあった。